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発行価格の部分を発行者コストに組み入れる方法はいろいろありますが、変動利付債の場合は、発行価格と満期償還の差を単純に年限で案分し、LIBORに上乗せして計算するのが普通です。
したがって、固定利付債のところでご説明したような、時間の概念を取り入れた発行者コストはLIBORがあらかじめわかっていない変動利付債では、計算不可能というわけです。
ただし、LIBORをある数字において複利の概念を用いた発行者コストを計算する方法もかなり試みられましたが、いずれの方法も一定の前提を置かざるを得ず、実用的には、ここでご説明した方法で十分だと思います。
固定利付債に比べ、変動利付債を発行するメリットは何があるのでしょうか。
固定利付債であれば、発行者コストがあらかじめはっきり数字で示されますから、例えば、ある工場建設のプロジェクトに資金を使う場合でも、その工場建設のプロジェクトから得られる予想収益が固定利付債を発行することによる資金コストを上回っていれば、工場建設のプロジェクトを進める価値がある、という、ように即座に判断が可能です。
一方で、もし仮に、これから金利が下がるということがかなりの確率で起こり得るとすれば、その時の高い金利で固定利付債を発行することは得策とはいえません。
なぜならば、その時の高い金利は、発行者コストとして満期まで響いてくるからです。
こういう時こそ、変動利付債を考えるべきです。
なぜなら、変動利付債のクーポンは6ヵ月ごとに見直されますので、金利が下がれば、クーポンもそれに呼応して低下し、結果的に発行者コストは、固定利付債を発行した場合に比べはるかに安くなるはずです。
このほかに変動利付債の使いみちはないのでしょうか。
歴史的に、変動利付債の発行体は、銀行か国がその大部分を占めていました。
この傾向は、今後も続いていくものと思われますが、銀行にとって変動利付債を発行する大きな意味はアベイラビリティリスクの回避にあるといえます。
銀行は、ロンドンにある銀行間の資金取引マーケットで資金の運用と調達をしているわけですが、このマーケットは完全に自由なマーケットであることから、時として、金利や、資金の取引そのものが行きすぎることがあります。
例えば、バブルの崩壊後、日本の銀行は軒並み国際的な格付機関から与えられる格付が低下してしまいましたが、AaaやAaからAやBaaに格付が低下すればロンドンの銀行間マーケットで取り入れることができる資金のコストがLIBORを上回るようになる可能性がでてきます。
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